百貨店の平日

 香典返しで送られてきた全国百貨店商品券は使うのに少々困る話である。
百貨店は人口10万人程度の小都市では経営が上手く行かず撤退を余儀なくさせられるケースが多い。私の住む地域も同じく昔は百貨店はあったが今は存在しない。
 いただいた商品券の半分は東京に住む子供に分けて残りは近くの40万人都市で買い物をしようと考えていた。そこまで行くのには用件が3件位と考えていたのでその時がやって来た。
 百貨店では私か妻のカジュアルな服を買おうと手持ちの商品券の倍の予算を組んでいた。百貨店の入口はオーデコロンの芳香が漂い、比較的多くの人が来店している様に思えた。
 婦人服は3階からと聞いてエレベータで上った。
 百貨店の平日は静かなもので従業員の視線が一斉にこちらを指す位、そのフロアーに殆どお客様の姿は見えず私のみが目立っているように思えた。
 売場を通過するたびに声をかけられ大変恐縮しながら服を見た。
 大体価格が解った。非常に高い。次に紳士物のカジュアルな服を見たが予算の倍を出しても届かない代物である。考えて妻のものに決めた。妻の身長を聞いていたのでサイズは解っていた。妻に服を買ってやるのは結婚後2~3回目のことで、良い事をした思いはするが、買ってもあまり喜ぶ顔を見たことがない。

 お返しはせいぜいショッピングモールで買える程度にしてほしいものである。
 もらって文句は言えないが。