藤沢周平(作)ドラマスペシャル「果し合い」を見て

 最近オリンピック関連の放送が多い中、チャンネルを移動していて藤沢周平ドラマスペシャルにあたった。(BSフジ)

 この作品は一度みた気がするが構わず見ることにした。

 仲代達矢主演の下級武士の部屋住み(嫡男ではなく次男)庄司左之助の話である。

 この時代に次男は養子縁組で婿となる良縁が多かった。

 婚姻の2~3日前突然果し合い状がとどき皆の反対を押し切り決闘に出向き相手を討ち果たすが、不覚にも相手の刀の折れ先が足に刺さりそれから片足が不自由となる。

それで婚姻も断り実家の離れで独居生活を始める。

 この時の婚約相手まきえから駆け落ちの話を持ち掛けられるが断りその娘は後釜の養子縁組と結婚をする。まきえはその後心を患い1年後帰らぬ人となった。

 時代は巡り姪美和は左之助の世話をする。美和は成人し縁談話(上士)を断った。玉の輿と言われたが姪には心に決めた下級武士がいた。縁談を断られた上士は剣に覚えを鼻にかけ美和の恋人に果たし状を送る。
 果し合いの当日伯父に助けを求めた。左之助は決闘に間に合い果たし状を送った上士を居合抜きで討ち果たす。

 美和達の後の災難を避けるため駆け落ちをさせて見送る。

 その後主人公左之助は事の顛末をしたためて死に装束に身を包み登城する。
 

 部屋住みの生活で人生の大分を過ごしたが正義を貫く精神はいささかも失われることもなき生涯を描いた藤沢作品にしびれた。

 私事、脊髄の手術後脚の痛みと引き換えに痺れはまだ続いている。

  雷鳴の中ストレッチャーで手術室に向かったのは4週間前の話である。
 身動きのとれぬ我が身で自由にできるのは頭の中だけであった。

  何故か妻に感謝したい気持ちでいっぱいであった。
  それは世の中で世話になった人たちへのお礼を代表して妻に伝えかったのだと思える。しかし退院して1週間の現在妻には伝えてはいない。言えないものである。