ピレネーの墓地

今から7~8年前のこと。

私はスペインのピレネー山脈のチンドキ山の墓地にいた。
「今日は僕、明日は君ぞ
と刻まれしピレネーの墓地に
粉雪の舞う」

 当時下手な歌を詠んだことがある。
 画家仲間ソレと主人のミゲルの3人でチンドキ山に登った時のことである。
小雪が舞って寒い時頂上付近にある墓地に寄った。
それは偶然のことで意図したものではない。

 スペインは通常寺院の墓地に土葬されるのであるが長い歴史のため墓地は手一杯になりチンドキ山のような墓地に埋葬されると聞いた。

 その墓地の入口の上を仕切るように
 Hoy  yo  manana  tu  今日は僕明日は君

 と刻まれた軒下を通って墓地に入る。
 墓地は2階建てか3階建てか記憶が定かではないがマンション墓地であり片面通路に面したまるでカプセル・ホテルのような斜面に1m程の扉で仕切られた共同墓地となっている。扉には花を飾るポケットや写真を添付したさまざまな形がある。
 ここに入るには数百万円必要だそうでしかも永久にはいられないらしい。

 庶民は今ではほとんどが火葬らしい。
 1方日本で言う仏壇は当然各家庭にはない。2軒程下宿した家では仏壇は見かけなかったが写真を多く飾っていた気がする。(キリスト教徒故仏壇などはない)
 葬儀はすべて寺院で行われ(結婚式もそうであるが)最近では国道沿いに葬儀屋の看板を見かけたことがあったので世の中も変わっていくのかと思われる。今頃になって懐かしく思い出される。