歯医者の腕の見極めは

 歯科医は歯医者と呼ぶ方が親しみがある。
生涯、歯医者に世話にならぬ人はいないと信じる。
特に高齢社会になればなるほど必然化するはずで、私の住む街の歯科医院は増える一方である。そろそろ頭打ちなのか開業するのが難しくなってきてサラリーマン的歯科医師も増えつつあると聞く。
 腕の良い歯科医かどうかの判断は相当難しい。若い人はネットの口コミか何かで簡単に転院して行く。もっとも歯のかぶせが何度も外れるのなら無条件に変わる筈である。そうでなく数十年も同じ医院に通っていると、この医師の腕は本当に良いのか否か疑問に思うことがある。そんなに長く通っていて歯の数がどんどん減って行くのは自分自身に責任があるのか、医師にあるのか。
 歯科医の口内治療は一種の手術であり、説明を聞いてもあまり良く合点をして行われるものではない。まあ「良きように計らって下さい」と異論を指すことは出来ないし第一に口内で行われている状態は全く見えない。
とにかくあまり痛くなければそれで良し程度の判断で経てきている。従って歯科医の腕の良し悪しなど判断できる訳がない。全てが医師との信頼関係よる。
 医院の評判で大事なものは「患者に対するやさしさ」で患者が増えるかどうかが決まると歯科医から直接聞いたことがある。
 女房も若いうちから歯医者通いであるが、歯科医師の学会へよく出席するぐらいの積極性のある医師は良い歯科医と言う。
 歯医者も人間であるからあまり機嫌を損なうような態度をとらぬことである。そうでもしなければ口内の密室で行われる手術で手加減されないことを心配する。

 これから余談であるが、長く住んだスペインでの話。病院は公立と私立があり、公立は無料である。公立病院は予約に長い時間がかかり、手術後の入院期間は非常に短いと聞いたことがある。こと歯科医に関すれば、抜歯は無料であるが歯科一般治療はすべて有料らしい。
 スペイン人は少年・少女の歯並びのきょうせいをする姿をよく見る。歯を長く健全に保つには一番に歯並び等の構造と歯磨き等の保守であろう。日本でも最近子供達が歯並びのきょうせいする姿を見かけることがあるが、自分達の子供に対しそこまで気を使ってやることはしなかった。
 余談にもう一つ私の友人が50歳半ばでインドに2年間滞在を命じられたことがあった。彼の歯にすでに問題があったのか否かは知らないが、出発前に歯を殆ど抜いて総入れ歯にして出発したと聞いたことがある。 

 我が国の入歯の歴史はヨーロッパより200年も早く16世紀後半には「かめる総入れ歯」が実用化され、その材料にはツゲの木などを彫刻して仕上げる「木入歯」であったらしい。これは明治時代まで用いられている。江戸時代には「入歯師」や「ぬきば師」がいたらしく人間生活に欠かせない歯の問題は永遠と続いている。

 明日は歯肉部に怖い麻酔注射をうつと聞いている。