2012年には認知症高齢者が462万人で65歳以上の約7人に一人であった。
ところが2025年には700万人で5人に一人が認知症になるとの推計もある。
より身近になった認知症問題に答えるように出てきた本が認知症専門医長谷川嘉哉の経験を書かれた興味深いエッセイである。ベストセラーだと新聞をにぎわす「ボケ日和」を読んだ。
第1章 ちょっと変な春(認知症予備軍)
第2章 かなり不安な夏(初期・軽度)
第3章 困惑の秋(中期・中程度)
第4章 決断の冬(末期・重度)
上記は目次であり症状を四季にたとえ状況と対処法を述べてある。
第1章では家族がちょっと変に気づいていれば薬や脳リハビリで進行を遅らせることができる早期認知障害である。認知症の一歩手前。
第2章 かなり不安な夏では認知症を発症して本格的にもの忘れの段階に突入。今までに出来ていたことができなくなる。進行はゆっくりと進む。
薬の管理ができなくなる。服を着るのが難しくなる。通帳をしょっちゅう失くす。料理は作れなくなる。何度も同じ話をする。
第3章 困惑の秋(中期・中程度)
暴言・妄想・俳諧・幻覚がどんどん出て家の中に混乱の嵐が吹きまくる。支える家族にとってもっともつらい時期です。この時期は2年で終わります。
第4章 決断の冬(末期・重度)
失禁・弄便(便をつつく)等が見られるようになり、やがて患者さんは1日中ぼんやりするように。人生の終幕を迎える静かな気配が近づいてくる。物事への関心が薄れ生活のすべてに介助が必要になる。
人間は必ず食事が摂れなくなる。この時に自宅や施設での看取りを選択すると患者さんは穏やかな最後を迎えることができる。
飢餓状態や水分のとれない脱水症状が続くと私たちの脳内ではモルヒネ様物質が放出される。するとふわふわと心地よく酔ったような状態になり苦しさも不安も怖さも感じなくなる。つまり最終的に食事がとれなくなるのは生命に与えられた最後の安らぎなのである。
自分は妻の母を一時食事をとらない(延命治療をしない)状態に付き添ったことがある。さぞつらかったのではなかろうかと思ったことがあるが、この本によるとそうではなかったと救われた思いがする。
一度切り読んだだけでは頭に入らないが購入した本なので都度参考にしたい。
この種の問題はあまり他人には相談できないのでよき参考書となるであろう。自分がぼけたら本は読めないが。