大関の資格

 大関高安(28歳)が御嶽海の投げに土俵を背屈ばりながら瞬く瞬間をカメラがとらえていた。さぞ残念な思いで土俵を後にしたのだろう。終盤にきて高安の安定感を欠いたドタバタ相撲は負けても仕方がない相撲であった。

 昨夜から今朝にかけても、貴景勝(22歳)がテレビに顔を出し喜びと今後の覚悟を表していた。
 「勝っておごるな、負けてくさるな」
   が貴景勝座右の銘とも紹介されていた。
 一つ一つの勝利インタビューで「喜んではいられない、普通です」の言が多かったのが頷ける。

 普段は不貞腐れた表情を満面に見せた貴景勝の優勝インタビューにはそれを打ち消すかのような22歳の好青年の受け答えと表情が見られ安心出来た。
 直感的には「あ、喋るんだ」「ヒールではないんだ」と感じた。
   身長175㎝体重165㎏の貴景勝は幕内力士内では小柄である。
 重心の低さを利用した下から上向きに突き刺さるぶつかりからの激しい突き押しと、絶妙なタイミングの左からのいなしで勝ち進んできた小兵の新しい相撲スタイルが見直される時代の到来かもしれない。阿武咲しかりである。

 一方敗れた高安はまだ優勝未経験である。
 横綱稀勢の里も同様大関昇進前には優勝の経験がない。
 大関の資格は3場所で33勝以上の星勘定が必要と言われている。今回の高安のように優勝争いを勝ち上がった経験がないのに大関昇進が認められるのは弱い大関、弱い横綱を生み出す原因になっている。
 大関昇進には3場所33勝はもちろんのこと過去に優勝経験をもった力士にのみ資格が与えられても良いのではないか?