インフルエンザ・スペインでの記憶

2000年か2001年の頃自分自身が体験した話である。

スペインで働くと言って日本を離れ語学専門学校に通い始めた1年目のこと。
ある秋の朝から体を重く感じた1日の始まり、それから熱が出て下痢を伴い始めた。
海外保険を持参していたがバスク地方に移動して初めての事でありどこに行ってよいものやら解らない。

 当時ルームシェアーしていて年寄りのベロニカ婆さんが心配し何か欲しいものはないかと聞いてきたのでバナナを依頼した。体温計を持っていないので体温も解らないただ汗をかく。自分に出来ることはタオルを水に濡らして額にのせる程度のことで全身汗まみれ。

 語学学校には休校の電話を入れた。
 10日近くは続いたと思う。げっそり痩せて起き上がった。体重が何キロ減ったのかは不明であるが語学学校に出た。

 先生は私の顔色が真っ青だと言い、まだ休んだ方が良いとも言ってくれたが家にいても良くならないので学校に出た。

 日本から持参していた風邪薬ルルを服薬するが効果はない。

 それでも何とか体調を戻した。52歳の時のことであった。

後から知り合った70歳の友人アントニオにその話をすると「それはインフルエンザだと」言いその場合はレモンとスポーツドリンクが効果があると教えられた。

 スペインの片田舎で日本人のオッサンが死のうと生きようと大した問題にはならないであろう。
 この体験から結局自分自身の体力でインフルエンザに打ち勝つしか方法はない事を悟った。
 今中国を起点に流行の止まらない新型コロナウイルスによる死亡者は糖尿病患者や高齢者と聞くがやはり体力のない人達が犠牲になるのであろう。

 海外出張なら派遣元の会社が何とか面倒をみてくれるであろうが、縁のない単身で海外旅行されるかたはくれぐれも体力を温存しながら楽しんで旅を続けてほしい。