思い出 スペインでのクリスマス

 およそ50年前、会社の出張で正月を挟み約3か月スペインを訪れたことがある。

その頃私は25,6歳の青二才であった。

東京にも数度しか訪れたことのない田舎者の自分が全く知らぬ外国での土地MADRIDでのクリスマスの思い出は町中の街路樹を白色電球で飾られたクリスマス・ツリーであった。

 数百メートルは続く街路樹は美しく田舎者の私にとってとても感銘を受けたことがある。当時まだフランコ政権の息は強く社会を圧していたがクリスマスは特別なことだったのでは。

 それら27年たって自らの意志でおとづれたスペインには6年半も暮らし昔に見たクリスマスとは随分変わって見えた。

 カトリック教の強い影響をうけたスペインのクリスマスでは若者離れの宗教感があふれていた。教会のミサは年寄ばかりでクリスマスイブを家庭で過ごすことに若者達に抵抗感が強く家族との折衝の結果平均的に夜の9時までは家にいてそれからは自由行動で街中で友人達と騒ぐ習慣だそうである。

 

 クリスマスを一人で過ごす寂しさを同情されてスペイン人の家庭に招待されることも何度かあったがお断りして一人の気楽さを味わった。

 女房が一度だけスペインに来てクリスマスを経験したことがある。

 スペイン風に七面鳥の丸焼きを1羽買って食べたが慣れぬ習慣に苦労したことがある。今年もまたクリスマスが来て去って行く。日本ではクリスマスよりお正月の方が貴重である。